バイオレンスは、古典的ハック・アンド・スラッシュもの RPG に、現代の火力や世紀末的雰囲気を採り入れたものです (原著は1999年に刊行されました)。
プレイヤー・キャラクター (PC) たちは他の RPG と同じように、遭遇したものを攻撃し、殺し、奪います。
他の RPG との違いは、遭遇し、攻撃し、殺し、奪う対象が、モンスターではなく、たとえば隣人だったり、同僚、上司、あるいは全く無関係な通行人など、罪なき被害者であるということ。
そんな被害者たちを襲う PC はもちろんサイコな凶悪犯罪者、それこそモンスターと呼ばれるような人物ということになります。
そして、悪の栄えたためしなし、悪の限りを尽くした凶悪犯罪者たる PC たちは、最後は警察に捕まり、あるいは射殺されることになります。あなたのキャラクターは最期を迎えるまでにどれだけの死体の山を築くでしょうか……。
バイオレンスは、ゲーマーが日常的にやっている「ワンダリング・モンスター狩り」において十重二十重のオブラートにくるまれ隠されている「暴力」の真実を、オブラートの類をすべて引きはがし、これ以上なく痛烈にゲーマーに突きつける、最高の風刺作品と言えるものです。
とはいえ、18歳未満にはおすすめしません。かといって、誰にならおすすめできるかと言われても、さっぱりわかりませんが。
バイオレンスは独創的な経験点システムを備えています。特許に値するものです。これはプレイ・スタイルを大きく変えることでしょう。
日本語版の表紙は寺田克也氏が手がけ、バイオレンスの風刺的側面をコミカルに演出しています (挿絵も多数)。
えっ、作者は誰かって?
Designer X 氏です。その正体を明かすことはできません。
ただ彼は「Paranoia」、「Toon」、「Star Wars: The Roleplaying Game」をデザインした人物で、栄誉ある賞をいくつも獲得しています。この程度までは言っても問題ないはずです :-)
なお、グレッグ・コスティキアン氏によれば、Designer X 氏の正体を調べることは好ましくない結果を招くことになるそうです。
「キャラクター・シートがついていない」というお問い合わせを多くいただいております。
冗談の解説をしなくてはならないのはとても残念ですが、同様のお問い合わせに対応してゆく事は困難ですので、ここでご説明申し上げます。
3ページ右下「キャラクターの作成」章「1.」末尾でも触れておりますように、バイオレンスでは白紙をキャラクター・シートとして用います。
そういうわけで、キャラクター・シートは確かに、裏表紙内側 (書籍用語で「表3」と呼ばれる部分) に収録されております。白紙ですが。
書名 |
VIOLENCE (バイオレンス) The Roleplaying Game of Egregious and Repulsive Bloodshed |
著者 | Designer X |
翻訳者 | 田中克明、渡邊幸紀 |
発行 | 株式会社雷鳴 |
発売 | 株式会社書苑新社 |
ISBN | ISBN4-88375-057-4 |
定価 | 1,800円 + 税 |
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